SQUAD 2.5 SL DSスポーク交換

ホイール 作業日報 組み換え

こんばんは。

ゼンティスのスクワッド2.5SLのお預かりです。


画像は作業後。

こちらは登り用に購入されたそうですが、軽いばかりで乗り味の軟らかさに不満があるとの事でお持ち込み頂きました。

ローハイトリムだと、リム剛性が低い上にスポークが長いので、どうしても硬さを出すのは難しいワケですが、それに加えてリアハブはフランジ幅がやや狭いDT240S、スポークは引張強度は高いけれど曲げ剛性はイマイチなCX-Rayです。

この構成のホイールに硬さを出すにはスポークをもっと比重の高いモノに交換するのが一番効果的で、逆に言えばスポーク以外にやり様がほぼないワケです。

DSのみ高比重スポークに交換して、現状ではシュータッチはしないそうなのでNDSのスポークはそのままで結線の必要も無さそうです。

コロナの影響でスポークが届くまでかなり掛かってしまいましたが、その間色々とホイールを貸し出してご試乗頂きましたところ、ヒルクライムだけにフォーカスした場合でもただ軽さを求めるのでは無く、まずは剛性の確保が最重要だという事をご理解頂けた様です。

勿論登りに軽量化は有効なのですが、闇雲に軽くするのではなく、そのライダーに必要な分の剛性を維持できる範囲内で軽量化するというのが正解です。

今回も、CX-Rayと比較して高比重スポークは1本あたり2.3gほど重いのでDS12本で27.6gの重量増となりますが、結果的にはタイムは縮まり、何よりライダーも不満無く走れるハズです。

ただ、ゼンティスのリムは硬く組めるらしい、という噂話程度の情報は上がっていますが、そういうのは大体4.5とかの話で、2.5の情報は見つからず、この精度も微妙でニップルホールの処理も雑なローハイトの軽量リムで、どこまで張って良いものかちょっと不安があります。


全部の穴がこんな感じでバリというか、硬化していないカーボンシートのビラビラが残っています。
リム自体の真円度がやや低くてリムの継ぎ目のところでまぁまぁ大きく凹んでいるので、縦振れをキッチリ追い込もうとするとスポークテンションがバラついてしまいます。

取り敢えず、マージンを多めに取った状態でご試乗頂いて、不満が出ない所まで段階的にスポークテンションを増し締めしてゆき、これ以上締めるのは怖いというラインまで張ったけれどもっと硬さが欲しいという場合は、DSを接触組みに組み直して両側結線してスポークの動きを抑制してやります。
こちらのお客様の体重と最大出力から推測する限りでは、スポークテンションの増し締めだけで対処できるのではないかと思われます。

追記:実際にご試乗頂きました。

最初の状態でもう明らかに良くなったとのご意見でしたが、増し締めでどれ程変化するのかの確認も含め、取り敢えず一段階スポークテンションを増し締めしたところ、劇的に良くなったとのお言葉を頂戴しました。

この時点で満足度は十分高いし、リムの最大スポークテンション値が不明なので、これ以上深追いはせずに暫くはこれで使用してみるとの事です。

スポークの質量をたった30g弱増やしてスポークテンションを調整するだけで、これ程の変化があるのかと、待った甲斐があったと感激されていらっしゃいました。

私としても、ローハイト軽量リムでの実績はそれ程多くなかったので、DSスポークの交換だけでご満足頂けるか定かでは無かったので安心しました。

何より、ホイールに抱いているご不満を解消するというのは大した儲けにはならないけれど最もやり甲斐を感じる仕事の1つなので、喜んで頂けてとても嬉しく思います。