こんばんは。
皆さんは完組ホイールと手組ホイールの明確な違いは何だと思いますか?
商品としてのカテゴライズなら、メーカーがホイールとして販売しているモノを完組ホイール、街の自転車屋さんとかショップに依頼して組んでもらったホイールなどを手組ホイール、というのが正解ですね。意味合い的には。
それでは性能や設計的にはどうでしょうか?
手組ホイールの場合、基本的にハブもスポークもリムも手組用として販売されている、汎用部品の中からの組み合わせ、という事になります。
その全ての部品の中から選択するとなると途方もなく膨大なパターンが存在しそうですが、販売されているリムやハブのホール数、それに使用できるスポークの形や太さ、入手性や金額などを踏まえた上で、使用者の用途、体重、出力、見た目の好み、乗り味の好み、予算、などを考慮して組み手の知識や経験からパーツや組み方の選定をする訳なので、実際の実用的なパターンとしてはそんなでもないです。
良く言えばオーダーメイドです。
まずこういう部品がある、そしてその部品の精度だとか剛性だとか使用感だとか、そういった知識や経験から部品を選ぶワケなので、先ほど挙げた使用者の注文に対して、組み手によって選定するパーツは違ってくるでしょうし、例え同じパーツを使ったとしても組み上げる技術も違うので、手組ホイールをショップなどに依頼する場合、どこに依頼するかで出来上がるホイールは全然違うモノになるワケです。
対して完組ホイールの場合は、手組とは順番が逆と言いますか、まずメーカーが「こういうホイールを作ったので売ります」というカタチなワケです。
資金力のあるメーカーはハブ、リム、スポークなど全てを専用設計できるので、シャマルやキシリウムみたいな極太のアルミスポークを使ったり、ZIPPやゼンティスの様にリムに整流効果のありそうな加工をしてみたり、ライトウェイトの様に全てカーボンで作ってみたり、とアイデア次第でとんでもない仕様のホイールを作る事が可能です。
というワケで一般的には「完組の方が高性能」ということになりますが、実際には全てがそうとも言い切れないワケです。
メーカーとしてはどんな人が使うか分からないので、基本的にはどんな人が使っても大丈夫なように耐荷重や剛性などにかなりのマージンを取って設計する必要があります。
その耐荷重や剛性を上げようとすると必然的に重くなるので、例えば100㎏の人が使っても大丈夫な様に作られたホイールを50㎏の人が使うとなると、無駄に重く作られているモノを使っていると言い換える事ができます。
中には例外的に「登坂専用だから下りで使って何かあっても責任取れないよ」と注釈の入ってる行き過ぎた仕様のホイールもあったりしますが。
そしてメーカーは全ての部品を専用設計「できる」というだけで専用設計「しない」事も多々あります。
コストを抑える目的や上位モデルとの差別化などの理由から、専用設計などせずに汎用部品を採用する事もあるワケです。
更に言えば某F社など、そもそも手組用の汎用部品で組み上げて販売してるだけのメーカーや、設計・製造するだけの資金が無いのか頭が無いのか不明ですが、全ての部品をOEMで済ませてるメーカーもありますし、数で言えばそちらの方が多いくらいです。
つまり完組という販売形態なだけで、手組の域を出ていないモデルも数多く存在しているワケです。
そういったモデルは、その使用者に合わせて組んであるワケでは無いので、性能としてはむしろ手組よりも劣るという見方もあります。
なので、モデルによっては同じ仕様でもっと全然安く組めるな~とか思う事があったりますが、物の値段というのはそのホイールの製造・販売に関わった人間が多い程高くならざるを得ないので、仕方がない部分ではあります。
逆に、大量生産してそれがほぼ売れる見込みがあったり有名フレームメーカーの完成車に使われたりすれば販売価格が下げられるので、この金額でこれが出せるのは凄いなと思う事もあります。
完組ホイールは大別してエントリーグレード、ミドルグレード、ハイエンド・フラッグシップみたいな感じで分けられると思います。
で、基本的にはミドルグレード辺りまでのモデルだったら金額と性能共に手組ホイールの方がおススメ出来る場合が多いです。
ただ、ミドルグレードにも専用設計というか各社の強みが盛り込まれてくるので走行性能や重量やコストではなく、例えば雨天時の制動力が高いモノが欲しいからエグザリットがいい!などの場合は手組の汎用部品では対応できません。
ハイエンドになってくると全て専用設計でぶっ飛んだ仕様のが出てくるので、単純な性能では手組は分が悪くなってきます。
それでも最近は中々良いカーボンリムが結構安く手に入るので、技術のある組み手が、組み方を工夫した本気の手組ホイールは性能的にもかなりいい線イケるので、金額と性能を照らし合わせた場合はおススメできます。
イメージとして性能とコストを10段階で表してみます。
性能は数字が大きい程高く、コストは数字が大きい程金額が高い事とします。
なので一番高性能で金額も高いフラッグシップを基準にして、引き算していく感じになります。
フラッグシップ 性能9-10 コスト9-10
ハイエンド 性能8-9 コスト8-9
ミドルグレード 性能5-7 コスト4-8
エントリーグレード 性能3 コスト2-3
本気の手組 性能7-8 コスト5-6
※このコストは得られる効果に対して無駄に高級な(コスパの悪い)パーツを使わない場合です。
あくまで私の感覚的なイメージですが大体こんな感じになります。
そもそも便宜上アルミとカーボンを一緒くたにしてしまっていますし、メーカーによってはミドルとハイエンドの境は結構曖昧なので、この件に関しての異議などは基本的に受付ない事とさせてください。笑
例えばレースで使う場合、落車に巻き込まれ、ホイールのリムが割れたりスポークが折れたりします。
完組ホイールは補修部品も高額ですし、そもそも補修ができないモデルもあります。
その点、手組の汎用部品はメーカーの専用品に対して大半は価格が安いので、破損した時の金額的なダメージは完組よりも圧倒的に少なく済みます。
多種多様な完組ホイールが腐る程出回っている完組全盛の時代に、わざわざ手組ホイールというのは選択肢として挙がり辛いとは思いますが、パーツ選定と組み上げ技術次第ではとてもコスパの高いモノが出来ますので、ブランドにのっぴきならない拘りがあるとかでない場合はとてもおススメですのでご一考頂けましたら幸いです。
最後に、「本気の手組」はハイエンドに肉薄する性能でミドルグレードと同じくらいの金額で組めると言ってしまっているワケですが、完組ホイールはコスパが悪いなどとコキ降ろしているワケではありません。
実は、個人的にはミドルグレードのホイールはとてもおススメだったりします。
大メーカーのミドルグレードのモノは、メーカーの特色は入れたいけれどなるべくコストを抑えて販売価格を低く設定したいラインなので、スポークなどは汎用品と同じ規格のモノにしておいて、リムだったりハブだったりにメーカーの強みになっている技術が盛り込まれている事が多いワケです。
と言う事はですよ?
あまり大っぴらに言っていいような事ではないと思いますが、スポークの規格が同じという事は単体で販売されていない部品をその完組ホイールから流用sゲフンゲフン…。
詳しい事は完組ホイールの組み換え例1と完組ホイールの組み換え例2に記載しておりますので、ご興味ありましたら是非お読みください。